「世界一気持ちいいマッサージ」や「2人でやるヨガ」などと称される『タイ古式マッサージ』。マッサージ好きの方やタイ旅行に行ったことのある人にとっては馴染みのあるマッサージですが、まだまだ一般の方からすると、「なんか怪しい…」「もみほぐしと何が違うの?」とお思いの方も多いことでしょう。
タイ古式マッサージは一言で言うと、「ヨガ的なストレッチと指圧が融合したタイ伝統のマッサージ」です。一度施術を受けたことがある方は、結構な確率でタイ古式ファンになるほど、気持ちが良く癒されるマッサージになります。そんな私も、タイ古式マッサージの魅力に憑りつかれてしまった一人でもあります。
本記事では、タイ古式マッサージを習いにタイの古都チェンマイに1か月滞在してから、タイ古式だけではなく、タイの魅力にどっぷりとハマってしまった私が、『タイ古式マッサージとはどんなマッサージか?』を分かりやすく解説していきます。
Taro
米大スポーツ経営学部卒。北海道出身。高級スパ・Google六本木ヒルズオフィス・Kバレエカンパニーでのセラピスト業務、サロン経営を経験後、貿易商社に転職。アジア各国の素晴らしいマッサージ文化と気持ちいいマッサージを皆さまにご体験いただき、心の拠り所となる癒しのリトリートの提供を目指し、湘南エリアにASIAN RETREATを開業予定。
タイ古式マッサージとは?
冒頭でもお伝えしましたが、タイ古式マッサージを一言で表わすと、「ヨガ的なストレッチと指圧が融合したタイ伝統のマッサージ」です。ストレッチばかりのマッサージというイメージが強いかもしれませんが、実際は指圧系の手技もよく使われます。「セン」と呼ばれる10本のエネルギーライン(東洋医学でいう経絡のようなもの)に沿って、指圧や押圧をしたり、ストレッチをしたりして、そのセンの閉鎖を解放していくタイの伝統的なマッサージになります。ヨガでいうところの、チャクラを開いていく感じと概念が似ているかもしれません。インド医学のアーユルヴェーダの理念を基にしたマッサージなので、ヨガ的な要素が強いヒーリングマッサージになります。
日本では「タイ古式マッサージ」と浸透していますが、タイ語の「Nuat phaen boran」を直訳すると、タイ伝統式マッサージやタイ古典的マッサージのような感じです。タイマッサージやタイ式マッサージと呼んでも良いですし、欧米だとタイヨガマッサージやアシストヨガなどと呼ばれることもあります。
出どころは不明ですが、「世界一気持ちいいマッサージ」や「2人でやるヨガ」などと称されることがあります。2019年にユネスコによって、タイ古式マッサージは世界無形文化遺産にも登録されています。
タイ古式マッサージの効果についてはこちらの記事で解説しています。
タイ古式マッサージの起源と歴史
タイ古式マッサージの起源は約2500年前までさかのぼります。ブッダの主治医であったインド人のシバカゴーマラバット「Javika Kumar Baccha」によってタイに持ち込まれたと言われています。仏教の伝来とともに伝わり、タイの寺院で発展していきました。タイのアユタヤ王朝時代の官邸でも、医療としてタイ古式マッサージが行われていたぐらい、とても歴史のある伝統的なマッサージになります。
近年では、タイのスクールにマッサージを学びに来る外国人も増えてきており、世界中に人気が広がってきています。タイから広がったマッサージスパブームもその人気に拍車をかけ、ヨガ好きやマインドフルネス意識の高い人々を中心に急激に認知度が高まりつつあります。私もチェンマイのマッサージスクールで資格を取得しましたが、セラピストにとっても趣味としてマッサージを学びたい人にとっても、素晴らしい経験になることは間違いないと断言できます。
日本でも、ひと昔前の少し怪しいイメージから脱却して、「タイ古式=おしゃれで癒されるリラクゼーションマッサージ」というポジティブなイメージとして捉えられることが多いでしょう。
タイ古式マッサージの種類と施術内容の特徴や違い
タイ古式マッサージには代表的な2つの種類(流派)が存在します。その2大流派が、「ワットポー式(バンコク式)」と「チェンマイ式」です。
Wikipediaでは、宮廷式と民間式に分かれるとなっていますが、一般的にはあまり馴染みはありません。簡単に説明すると、宮廷式(ロイヤルタイマッサージ)は、いわゆる王族向けのマッサージで、足は使わないとか、体を密着させないとか、一般的に普及しているタイ古式マッサージの手技とはややかけ離れています。一般的なタイマッサージは民間式の方になります。
その民間式の2大流派が「ワットポー式」と「チェンマイ式」ということですね。
初めから2大流派が台頭していたわけではなく、近年になってから、バンコクのワットポーというお寺で教えていたマッサージが「ワットポー式」や「バンコク式」と呼ばれるようになり、チェンマイのオールドメディシンホスピタルで教えていたものが「チェンマイ式」と呼ばれるようになりました。
ワットポー式(バンコク式)
ワットポー式は、バンコクスタイルや南部スタイルとも呼ばれています。バンコクにあるワットポーというお寺が総本山で、そこで教えていたタイ式マッサージなので、このような名前となっています。
チェンマイ式に比べると指圧が多めと言われますが、実はしっかりとストレッチもします。ただ、どちらかと言うと、両手拇指を重ねた指圧や合理的なストレッチが多く、一点集中型のマッサージという感じです。
圧をしっかりとかけるので、体が凝り固まっている人はワットポー式の方が向いているでしょう。日本で受けられるタイ古式といえば、こちらのワットポー式や後述するタイ厚生省式が大半を占めている印象です。
ワットポー式の特徴
- バンコクのワットポーが総本山
- 指圧多めの圧強め
- 両拇指を重ねて一点集中型
- 合理的なストレッチ
チェンマイ式
一方のチェンマイ式は、古都チェンマイにあるオールドメディシンスクールで教えていた、ややヨガ的な要素が強いマッサージになります。
ストレッチは、ワットポー式に比べると、ヨガ的でアクロバティックな手技が多いのが特徴です。
指圧や押圧もしますが、肩手ずつ左右交互にウォーキングしていくような押し方なので、強さはややマイルドになります。
押圧からストレッチに至るまで、手をクライアントの体から離さず、流れるような手技がとても美しいマッサージになります。
ヨガマッサージや癒しが目的ならチェンマイ式がマッチするでしょう。
チェンマイ式の特徴
- ヨガ的なストレッチが多め
- 流れるような美しいリズムの手技
- 圧はややソフト目
- アクロバティックなストレッチも
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ワットポー式・チェンマイ式のどちらも、10本のセンに沿って施術していくのは同じですが、セラピストによって色々なテクニックを取り入れながら進化&改良していくので、はっきりとした境界線はないと言っても過言ではありません。「セン」という概念を重視するよりも、西洋医学的(解剖学的)にしっかりと筋肉を捉えてマッサージをするセラピストもたくさんいます。私も個人的には、センよりも筋肉をしっかりと捉えたタイ古式の方が好きですし、施術効果も気持ち良さも断然上だと感じています。
その他の種類や流派だと、「ジャップセン」「ピシェット」「ピシット」「スコータイ」(ほぼ人の名前)と色々ありますが、施術家さんは独自路線に走る傾向があるので、すべてを網羅する必要はないかと思います。タイマッサージを覚えたての頃は、手技の豊富さを求めがちですが、「そのストレッチって意味あるの?」といったことも多々あるので、本当に上手なセラピストの手技はシンプルで洗練されたものだったりします。余計なものは削ぎ落として、気持ち良く効果の高い手技を厳選している感じですね。人生と同じで、年を重ねるごとに大切なものは少なくなっていくべきなのかもしれません。
タイ厚生省式とは?
ちなみに私が学んだタイ古式マッサージは、「タイ厚生省式」といって、チェンマイ式ベースでありながらも、あまりアクロバティックで危険なストレッチはやらないといったスタイルでした。ワットポーとチェンマイを融合させたようなバランスの良いタイ古式マッサージになります。認定スクールで試験に受かると、タイ厚生省認定のタイマッサージ資格が得られます。日本でも「タイ厚生省式」で学んだセラピストが多いはずです。
まとめ
タイ古式マッサージについてなんとなく理解できたでしょうか?日本でタイ古式を受ける際は、ワットポー式やチェンマイ式などをチョイスできる選択肢はほとんどありませんが、セラピストさんに「これは何式ですか?」と聞いてみるのも良いかもしれません。とは言っても、あまり何式とこだわらずに、ただその空間とセラピストに心を体を預けて、最高に癒されてみることをおすすめします。きっとあなたもタイ古式の魅力を発見してくれると信じています。
アジアンリトリートのタイ古式マッサージは、流れるような美しいストレッチが特徴の「チェンマイ式」と、力強い指圧が特徴の「ワットポー式(バンコク式)」が融合した「タイ厚生省式」を採用しています。さらに、タイ古式ではケアしづらい肩周りの施術については、当店こだわりの「もみほぐし」の手技を用いてしっかりとほぐしていくので、癒しと全身のケアの両方をご希望の方にとっても満足頂けるような施術内容になっています。タイ本場のマッサージ超える気持ち良さを追求しておりますので、ぜひ一度体験しにきてください。